
こんにちは。しらぬいです。
皆さんは、病院食を食べたことがありますか。食べてみてまずいと思った経験がある方もいるのではないでしょうか。
ただ、このまずいと言われている病院食ですが、いつまでもまずいと言われ続けているようです。
私は、食品企業に商品開発担当をしていた経験がありました。実際に病院食を食べてみて、ますいなと思った経験があります。
そんな私が考察する、病院食がまずい理由についてお話しようと思います。
この記事は、病院食がまずいと思っている人やまずい料理がなくなればいいなと思っている人に向けて書きました。
病院食がまずい理由
病院食を美味しくしても、病院が儲からない
病院食は、病院の食事をおいしくすれば儲かるわけではありません。あくまで、入院した人の付帯サービスとしてついているだけなので、病院食に力を入れても誰も儲かるわけではありません。おいしさを求めるのにお金が動かないとなると、病院食をわざわざ美味しくする理由がありません。栄養士さんがいくら頑張ってもお金にならないのであれば、新しく美味しくする取り組みにかける価値が薄いように思うので、美味しくならないのは当然のように考えられます。
病院食では、料理をおいしくするノウハウがたまらない
おいしくする理由がないのもそうですが、新しい取り組みというのが生じにくいというのが原因として考えられます。
実際に提供された、実績のあるメニューがすでにある状態で、メニューがある程度型ぎめされている状態で、さらにおいしくという新規のメニューを提案できるでしょうか。仮に提案できたとしても、提案の頻度的には、みなさんが普段触れている食品と比べると、そのペースは格段に少ないと考えられます。
なので、試行錯誤の繰り返しが少ないと考えられる分、おいしくなりにくいのではないかと思います。
栄養のバランスを基軸に料理を設計すると美味しいものができにくい
病院食は、患者の栄養をコントロールするため、必要な栄養素を栄養士さんがきちんと設計してメニューを考えます。
一方、日常にありふれた食品は、開発される場合はまず、おいしいかどうかが大前提で、おいしくなかったら全く売れません。栄養素は二の次で、まずは味の評価を第一に考えます。栄養素は二の次な分おいしいものが生まれやすいです。
ですので、病院食と日常にありふれた食品では、そもそもの設計の前提が違います。
私は食品企業で商品開発を担当していた身としては、イメージ的に、栄養素を強化して、それをセールスポイントにしているような食品は、通常の、栄養を強化していない食品と比べると、味は落ちるのかなという印象をどうしてももってしまいます。
栄養を素に設計してしまうと、やはり美味しく無くなる可能性があり、まずいと思われてしまうのではないかと推察します。
余談:塩分を控えた方がよいから、塩を減らして味を薄くすればいいっていう考え方では豊かにならない
塩分を控えたいと思っている人に差し出す食メニューの違いが、食品の開発と病院食の違いそのもののように思っています。
食品の場合は、減塩タイプの商品に、味を薄くしてしまっては売れなくなってしまいます。ですので、減塩でも、塩味がしっかり感じて食べごたえのあるように、塩の代替品を使ったり、香りをうまく使ったり、表面に調味をして味を感じやすくするなどして工夫をします。
病院の場合は、単純に病院が味を薄くしているだけかどうかは詳しくは知りませんが、どうしても、過去に作られたメニューのようなものがあって、それが中心になっている印象を拭えません。
個人的に、病院食を食べて思ったのは、別に無理に汁物を付けてくれなくてよいから、味付けをもう少し食べられる味にしてほしいということでした。
例えば、塩を少量なめると、醤油でにこんで味付けするよりも、塩味を表面に塗って、醤油フレーバーで香らせた方が、しっかりとした味付けを感じます。
このような、香りと調味料の組み合わせなど、栄養以外のアプローチで味を豊かにするような知識やノウハウが、病院や栄養士には蓄積されないので、おいしくならないのではないかと思います。
病院食もさらに豊かに
私は、どうせ食事をするのであれば、食べた人がおいしく感じるような食事をしたほうが良いと思っています。食事に制限があるから、このまずいものしか食べてはだめだというのではなくて、まずいものをまずくない状態にすることが大事だと考えています。
今の時代は、おいしいものが手元にあることが当たり前になってしまって、おいしものを食べるのに皆が慣れてしまって、日常のなかでそうそうまずいものを食べる機会はなくなりました。その時代の流れに少し遅れているのではという印象を、私は入院当時に思った次第です。
少しでもみなさんの参考になれば幸いです。
それでは。