
こんにちは。しらぬいです。
皆さんは、お誕生日やクリスマスにケーキを食べますか。
特別な日に食べるケーキは、いつもにもまして格別ですよね。
ただ、特別な日だからといって、奮発して購入してしまう人もいると思います。ただ、よく考えてみてください。
なぜ、小麦粉と卵と砂糖で作ったケーキがあれほど値段が高いのでしょうか。
私は、食品企業で商品開発担当を経験しており、商品の企画設計や原価計算等に携わってきました。
この記事は、ケーキの値段が高いと感じる人や、値段設定に興味があるという人に向けて書きました。
ケーキの値段が高い理由
ケーキは廃棄率が高いから
ケーキは、売れ残って処分する量が多い
ケーキは、その日に売れなかった分は、たいていの場合処分されます。ケーキの作った量に対する廃棄率は、50%ほどに登ることもあると言われています。食品のカテゴリの中でもかなり高いです。最近ですと、腐りにくい生クリームや、冷凍保存してもぼそぼそにならない生地などの技術が普及しつつありますが、依然として、日持ちしにくいカテゴリです。
廃棄する分は、原価に上乗せする
どの食品企業や販売会社もそうですが、ロスが出ることがほぼほぼ確定しているような商品については、ロス率をふまえた上で原価をはじき出します。
ケーキの値段が高いのは、この、廃棄している分のケーキの分まで、値段に上乗せされているからです。
原材料費が高騰しているから?ではない
似たような原料を使っているクッキーは値段が高いか
ケーキの主な原材料といえば、小麦粉、バター、卵、砂糖です。これと同じ原材料を使った食品として、クッキーやビスケットがあります。
しかし、クッキーやビスケットと比べると、ケーキのほうがはるかに設定価格が高いように感じるのではないでしょうか。
それは、クッキーやビスケットは、保存性が聞くので、腐らせてしまう心配があまりないため、ロス率が低いです。(常温日持ちするレベルなので、ロス率は10%もいかない程度だと想定できます)
しかし、ケーキは、賞味期限が短く、大量に生産しても売れる見込みがなければ、廃棄してしまうのです。
原料費が高いというのは値上げの理由の常套文句
原料費が高いから、値段を高く設定していますというのは、よくさ行う手段で、経営の都合上値段をあげないといけなくなった場合、たとえ値上げの主な原因が原料費の高騰ではなくても、表向きの理由は原料費の高騰だとされる場合があります。
お客さん側も、原材料の値上げなら仕方がないと感じてしまうからでしょうか。
捨てる分のお金を支払っているのは消費者
ケーキは実際にはロス率が高いので、その捨てる分のお金を支払っているのは消費者です。これが良い悪いというわけではなく、この値段に設定しないと販売側としてはやっていけないという現状があります。
実際、ケーキ屋がボロ儲けしている話を聞いたことがありますか。ケーキ屋は、手間もかかれば日持ちもしないし設備も必要なので、事業としてのリスクとしては大きいです。
消費者側からすると、捨てる分のケーキ代も一緒に料金として支払っていることになるので、なんのためにお金を使っているのか、お金の有意義さという意味では薄いように思えます。
大量生産できてもおそらく値段設定はそのまま
食品ロスが問題になっている中で、ケーキの販売は予約販売に限るという業者も増えてきました。しかし、ケーキの相場価格はある程度出来上がってしまいました。予約販売によって、捨てる量が減っても、ケーキが安くなることはありません。というのも、今までの値段設定で売れてしまうからです。
その値段で売れるのであれば、わざわざ値段を下げる必要は販売者側にとってはありません。
おそらく、日持ちするケーキが開発されたり、包装資材がよりバリア性の高いものになっても、値段はある程度の水準が保たれると予想されます。
捨てたほうが儲かる仕組みに、メリークリスマス
クリスマスは、一年で一番ケーキが食べられるイベントです。このイベントのおかげで、ケーキが大量に売れますが、その一方で、捨てられるケーキも多くあります。
食品ロスの問題から、捨てるくらいならただで配れという人がいますがそれは間違いです。ケーキであれなんであれ、食品を作る目的は、あくまで、儲けるためです。無料で配ったり、値下げして販売してしまうと、相場を下げてますますケーキ屋が儲からない構造になってしまいます。
今の現状では、ケーキの廃棄分は、原価に上乗せする形で、余ったケーキは捨てた方が儲かるのだろうと推察されます。
食品ロスが問題視されていますが、捨てたほうが儲かるという仕組みが続く限りは、十分な解決は難しいと思っている次第です。
皆さんのちょっとした知識になれば幸いです。
それでは。